DNAマイクロアレイとは
DNAは生物の遺伝情報を担う高分子生体物質です。DNAはデオキシリボ核酸の略で、デオキシリボース(五炭糖)と燐酸、塩基から構成される核酸です。核酸は、塩基と酸、リン酸からなりますが、スクレオチド結合で連なった生体高分子です。糖の違い(2位が水素基(DNA)か水酸基(RNA)であるか)によって、2-デオキシリボースを持つデオキシリボ核酸(DNA)とリボースを持つリボ核酸(RNA)とがあります。
塩基には、アデニン、グアニン、チミン、シトシンの4種類があり、それぞれA、G、T、Cと略します。
このDNAについて特定のDNAを抽出し解析する方法のひとつがDNAマイクロアレイ解析と呼ばれています。DNAマイクロアレイ(もしくはDNAチップ)とは、細胞内の遺伝子発現量を測定するために、多数のDNA断片をスライドガラスなどの基板上に高密度に配置したものです。
あらかじめ、塩基配列が既知である1本鎖のDNAを多種、基板上に配置しておき、これに検体を反応させれば、検体のDNA配列と相補的な塩基配列の部分にのみ、検体のDNA鎖が結合します。これを解析することによって、目的の細胞・組織でどの遺伝子が働いていたのかを調べることができます。また、アレイ上での結合位置を蛍光や電流によって検出し、最初の配置から検体に含まれるDNA配列を知ることができます。検体の塩基配列が予測できる場合には、効率的にその配列が特定できます。
次の図は、Gilles Carpentier氏が公開しているウェブサイトのDNA(プロテイン)マイクロアレイ表示例です。
The Protein Array Analyzer
Computer Image Analysis & Biochemistry Practice Works
(http://image.bio.methods.free.fr/ImageJ/?Protein-Array-Analyzer-for-ImageJ.html&lang=en)
ImageJによるDNAマイクロアレイの画像解析
ImageJでは、画像化されたDNAマイクロアレイの解析プラグインがいくつかのWebサイトで紹介されています。
シンプルな解析プラグインとしては、Bob Dougherty and Wayne Rasband氏作成によるMicroArray Profileプラグインがあります。
http://www.optinav.com/MicroArray_Profile.htm
次に、ImageJのサンプル画像"Dot_Blot.jpg"画像をロードし、MicroArray_Profileを実行した例を示します。
デフォルトでは、6行8列の円形ROIが画像のサイズに合わせて表示されるため、これをプラグインメニューの<Reset Grid>ボタンを押して、4行7列に変更してROIを表示しています。
それぞれのROIは、ImageJで操作できますので、位置を微調整可能です。微調整した場合は、<Save Grid>で記録しておけば、次回も同じ位置にROI設定できます(<Read ROI>を利用)。
ROIの計測データは、Analyze>Mesureで結果を参照できます。Mesureの項目は、Analyze>Set Mesurements...で設定可能です。
次の図は、ROIを再配置して、プラグインメニューの<Histgrams>ボタンを押して、各ROIの配列座標ごとに統計値を表示した例です。
マクロを用いたDNAマイクロアレイの画像解析
ImageJのマクロを用いたDNAマイクロアレイの画像解析でユニークなマクロ(こちら)が、上記のGilles Carpentier Research Web Siteで紹介されています。
ここからダウンロードできるマクロ("Dot Blot Analyzer.txt")を、ImageJフォルダ下のmacrosフォルダに置いてImageJを起動し、<Plugin>Macros>Install...から選択すれば、インストールできます。
インストールすると、ImageJメニューバーにアイコンが現れます。
(マクロインストール後)
その中の<Dot Blot>の絵が描かれたアイコンをクリックして、Analysis a Dot Blotを選択すると、自動的にROI設定のユーザーインターフェースがついたアプリケーションが起動します。サンプル画像もロードできます。
サンプル画像
新しく出現するインターフェース
その後は、マニュアルを参照しながら、ROIを設置(Add)し、計測が実行できます。
先述のプラグインのように、設定ROIを保存することや、そのロード、計測結果の出力などが可能です。
今回はImageJを用いたDNAマイクロアレイの解析方法について説明を行いました。これは、DNAの解析だけではなく、複数の画像像上に複数のROIを設置して自動で一挙に統計解析するプラグインやマクロとしても使いやすいので機会があれば、いろいろな画像で試してみてはいかがでしょうか。
参考記事:「山本修司:ImageJで学ぶ実践医用・バイオ画像処理.INNERVISION(26・11) 2011, p104-105」
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