2015年9月24日木曜日

第24回 2値画像の形状解析で学ぶ!

この記事は参考記事を援用して、筆者の考えも交えつつ、記述しています。

医用画像や顕微鏡から得られた細胞画像より、注目する領域を抽出し、その特徴量を計算することはよく行われます。この際、最も困難なことは、画像の中からターゲットとする特定の臓器、組織、病巣(腫瘍や特徴的な広がりを持つ炎症など)や細胞などをコンピュータによって自動抽出することです。この抽出方法(セグメンテーション)については、多くのアルゴリズムが論文などで紹介ますが、lmageJのセグメンテーションのためのプラグインも多く紹介されています。

今回はさまざまなセグメンテーションの紹介に先んじて、抽出が完了した領域の形状の特徴とその表現手法について、lmageJでの実践を交えて説明していきます。


画像の形状特徴量の計測


画像の形状特徴量の計測方法として、ImageJの代表的な機能を紹介します。あらかじめ、画像の大きさなどが既知の場合、ImageJのAnalyze>Set Scaleで画素値と実測スケールが正しいかチェックしましょう。次に、2値画像の特徴量として計算可能なものを、Analyze>SetMeasurementsのパラメータの中から選んでチェックボックスをオンにします。図に、胚細胞のImageJサンプルデータ(Rat_Hippocampal_Neuron)の細胞形状の特徴量計測例を示します。




 (Set measurements)
(Measure:result)


このようなさまざまな指標によって、細胞の形状特徴量を測定した結果を定量的に観察し、することができます
以下、チェックした特徴量の一部を簡単に解説します。

①面積(Area)
画像の特徴量の面積は、画素数を数えることにより求められます。2値化した画像の対象(黒または白画素)の場合は、ヒストグラムから各濃淡値のピクセルカウントを確認できます。

②周囲長(Perimeter)
周囲長は、まず境界追跡アルゴリズム(Snakeなど)を用いて境界を求め、画素の長さを加算していきます。このとき、斜め方向に隣接する画素をルート2倍にするなど、誤差補正が必要です。
2値画像での2点間距離は、一般的な数学で使用されるユークリッド距離や、4近傍 (上下左右)処理によって2点間で接する画素を追っていく方法(4近傍距離または市街地距離と言う)、および8近傍処理によって2点間で最も接する面積が多い画素を追っていく方法(8近傍距離またはチェス盤距離と言う)で求められます。
ImageJでは、Bounding Rectangle (限界長方形:選択枠の最小長方形)という指標もあり、出力結果では、BX、BY、Width、Heightという値が結果テーブルに表示されます。BX、BYは、長方形の左上の角の座標を示しています。

③楕円指標(Fit Elipse)
ImageJでは,メニューのAnalyze>Set ScaleのFit Elipseに相当します。セグメンテーション後の境界枠に適した楕円を計算し、Major(長軸)、Minor(短軸)、Angleが指標として出力されます。MajorやMinorは、最も適する楕円の第1軸、第2軸で、Angleは画像のx軸と平行な線と、楕円径の第1軸と交わる角度を示します。
Set ScaleダイアログにあるPixel Aspect Ratioの値が1.0で有効となり、それ以外のときは使用できません。

④円形度(CircularityまたはRoundness)
対象がどれだけ円に近いかを表す尺度のことで、面積をS、周囲長をLとしたとき、4πS/L2乗で計算されます。対象が円である場合は1.0で、複雑になるにしたがって数値が下がります。

⑤2点間最大距離(Feret’s Diameter)
ImageJでは、“フェレーの直径(Feret’s Diameter)”という名称で実装されています。選択枠内の任意の2点間の最大距離を計測します。


(Pharmacopeial Forum:Volume No.30(6) Page 2212, fig 1.)

2値画像のモーメント特徴


一般的に、モーメントとは物体を回転させる力の大きさを表しますが、これを画像の統計量として捉えて、特徴量抽出に利用することもできます。
2値画像のモーメント特徴とは、画素の位置の重みづけをして合計した数値です。モーメントは、多値画像においても、ImageJを用いて画素値の平均値の周りの1次モーメントから4次モーメントまで特徴量を簡単に計測できます。
2値画像のモーメントは、ImageJでは標準では実装されていない特徴量ですが、重要な指標ですので簡単に説明します。

画像のモーメントは、一般的に次式で定義される(p+q)次のモーメントM(p,q)を用いて計算されます。




ここで、fijは画素値であり、対象の画素は1で、対象より外側のバックグランドは0です。
重心座標(I,J)を決定する場合、I = M(1,0) / M(0,0)、J = M(0, 1) / M(0,0)がよく用いられます。主軸の方向を示すtanθは、対象画像が伸びている方向を表し、次式によって計算されます。



ImageJのプラグインでは、ジョンズ・ ホプキンス大学でからMomentMacroJマクロとして紹介されているので、試してみてはいかがでしょうか。(http://www.hopkinsmedicine.org/fae/mmacro.html).

※テキストをダウンロードして、ImageJのプラグイン>マクロからインストールでダウンロードしたテキストファイルを選択します。これで、マクロのリストに加わるので、もう一度プラグインのマクロから選択して起動します。

(補足)
参考記事に別のプラグインの紹介があるので、こちらでもご紹介いたします。
ImageJを用いた拡散テンソル画像処理プラグイン
https://sites.duke.edu/dblab/jdti/#comment-34

このプラグインは教育や研究用に配布されています。
入手するには、上記ページからリクエスト(コメント)を送信して承諾してもらう必要があります。

テストデータも入手できますので、勉強には最適ですね。

さて、次回は特徴量解析の少し専門的な技術をご紹介します!

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床研究(臨床試験)サポートサービスを展開しております。
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参考記事:「ImageJで学ぶ実践医用・バイオ画像処理.INNERVISION(22・1) 2007, p94-95」

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