ImageJはその豊富な機能として、多くのプラグインをオリジナル機能として提供してきました。その数は2013年時点で400を超えています。
(ImageJ プラグイン数の推移(参考文献1))
そして、これらのプラグインを独立した画像処理や解析機能として使用するのではなく、多くのプラグインを集めてパッケージ化したlmageJモジュールが存在します。
その中でも、“Fiji”は、高品質なプラグインパッケージとして、脳神経科学者などの間で使用されています。今回はこの画像処理パッケージFijiを紹介します。
Fijiについてー“Fiji Is Just ImageJ”—a "batteries-included"ー
(Fiji メインウィンドウ)
Fijiは、“Fiji Is Just ImageJ”というフレーズで開発されているImageJ上で動作するJava言語の画像処理パッケージです(Fijiは、ImageJを凌駕するというより、むしろImageJそのもので、「ImageJはここからが本番」というニュアンスと個人的に解釈しています。)。
"batteries-included"というのは、標準的なライブラリを柔軟に使えますという表明です。
想定されるFijiの利用環境は次のように説明されています。
Fijiの利用環境
Fijiは、ImageJに関わる多くの開発者によってサポートされています。その代表的な開発施設は、University of Wisconsin-Madison(ウィスコンシン大学)のLaboratory for Optical and Computational Instrumentation(LOCI)と、Max Planck Institute of Molecular Cell Biology and Genetics in Dresden, Germany(マックス・ブランク研究所)です。
マックス・プランク研究所は、その名のとおり高名な物理学者マックス・プランクにちなんで名づけられた施設で、その前身のカイザー・ヴィルヘルム協会時代にアインシュタインが所長を務め、研究していたことでも有名な施設です。
2009年までのFijiの開発を可視化したSupplement動画をご紹介します。
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このlmageJのプラグインパッケージFijiの使用対象者は、脳神経科学者のほか、細胞生命科学者や寄生虫学者、遺伝学者や材料科学などで、様々な専門領域にも応用されています。このパッケージはオープンソースであり、開発用スクリプト言語としてJavascript、JRuby、Jythonなどが利用できます。
(いろいろなスクリプトに対応)
以下、Fijiに実装されている主なプラグインを示します。ImageJのプラグイン選定とは少し方向性が異なることがわかります。ImageJとともに、これらのプラグインを使いこなせると、画像処理に関しては世界水準で"最強"と言っても過言でないかもしれません。
(プラグインメニュー)
(利用可能なプラグインのリスト)
プラグインを一部抜粋してご紹介します。
- 3D Viewerの例
ImageJ同様に、3D Viewerも実装されています。
(左から、Surface、VR、MPR)
- TrakEM2の例(電子顕微鏡画像のレジストレーション、セグメンテーション、アノテーション、3Dモデル操作を可能にするプラグイン)
(Treelineの抽出例)
(Treeline抽出アルゴリズム)
(筒状にエリアを定義(左)したあと、その筒の中の各ノードで半径の位置を経路として設定(右))
この他、実際の操作なども動画でたくさん紹介されていますので、興味のある部分だけ試してみてはいかがでしょうか。
https://www.youtube.com/user/fijichannel/videos?shelf_id=1&view=0&sort=dd
https://www.youtube.com/user/fijichannel/videos?shelf_id=1&view=0&sort=dd
Fiji活用方法
Fijiの各プラグインは、通常のlmageJのプラグイン追加操作(lmageJフォルダ下のプラグインフォルダに当該jarファイルをコピー)と同じ操作で、追加できます。この場合は、ImageJのプラグインとして機能するため、Fijiパッケージそのものをインストールしなくても大丈夫です。
Fijiで読み込めるファイルは生命科学分野で使用される画像処理フォーマットが網羅されています。
(インポートできるファイルフォーマット)
今回は、ImageJの高次画像処理パッケージFijiについて、その紹介を行いました。バイオイメージングの研究に役立つプラグインが豊富に収集されているため、電子顕微鏡を用いる研究者からマクロな画像を取り扱う研究者まで、うまくこのパッケージを活用できそうですね。
参考記事:「ImageJで学ぶ実践医用・バイオ画像処理.INNERVISION(24・9) 2009, p100-101」
参考文献
- NIH Image to ImageJ: 25 years of image analysisNature Methods 9, 671–675 (2012)
- Fiji: an open-source platform for biological-image analysisNature Methods 9, 676–682 (2012)
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