前回はラドン変換における基礎的な事項について述べました。
今回は前回触れなかったバックプロジェクションの際の補足として、フーリエスライス理論について概要を説明していきます。
初歩的な、CT画像とフーリエ変換
フーリエスライス理論を一言で説明すると、「平行投影の一次元投影プロファイルの1次元フーリエ変換は、対象の二次元フーリエ空間の1方向と一致する」というものです。
筆者が一番理解しやすかった図が、前回もご紹介したこちらの参考書の図です。
(Excelによる画像再構成入門より引用)
これを踏まえて、本稿では、Kak&Slaneyの参考書(http://www.slaney.org/pct/pct-toc.html)をもとに、フーリエ変換とCT画像の関係を紐解いていきたいと思います。
まず、対象f(x,y)の二次元フーリエ変換は次の式で表されます。
同様に、投影角度をθ、そのときの回転中心からt離れたプロジェクションをPθ(t)としたフーリエ変換は、次の式で表されます。
この2つの式の構成がわかったところで、話を単純にするために、一投影単位で見ていくことにします。投影角度0°のプロジェクションを二次元フーリエ空間上の垂直周波数0のラインを選択すると、二次元フーリエ変換式が次の式に変形できます。
この式で強調している部分は、投影角度が0°のときはy方向周波数はこの計算に寄与しないということだけです。
そして、投影角度0°で、投影関数はy軸に沿った線積分で表されるので、次のようになります。
これを先ほどの式に代入すると、次のように表すことができます。
これで、ある角度のプロジェクションのフーリエ変換が、対象の二次元フーリエ変換の1ラインとなることが理解できます。
そして、他の角度から投影されたプロジェクションについては、対応する角度θ分だけ二次元フーリエ空間で放射状に配置されます。
この図を見ているとわかりますが、二次元フーリエ空間での中心から離れた部分(外周)は、データの密度が粗いですね。この外周部分は、高周波成分でしたね。
よく、CT画像の画質を評価するときに、画像の中心から離れた外周にノイズが多かったりするのは、CT画像が主に低周波成分で構成されていて、それ以外の高周波成分は、二次元フーリエ空間上でデータが疎になっているので、情報量が低くなり、実画像でのノイズが増えるんです。(実際には、この部分に然るべきフィルタがかけられ、補正されます。)
逆フーリエ変換
このように、二次元フーリエ空間が放射状に埋められていることがわかりました。あとはこれを逆フーリエ変換すると、もとの画像が求められます。
逆フーリエ変換の一般式は、次の式で表されます。
参考までに、実際コンピュータ計算を行う際には、対象f(x,y)は離散値で扱われます。この場合、もし対象f(x,y)の定義位置が下図に示す条件であるならば、逆フーリエ変換は次のように表されます
離散逆フーリエ変換の一般式は次の式です。
この計算、、たいへんですね、、。
でも、すでにImageJプラグインに実装されていますので、ソースコードから学ばせてもらうのが一番効率が良さそうです。
研究成果や教材をオープンにしてくれる世界中の研究者に感謝。
次回もCTの原理について触れていきます!
Reference
- 「山本修司:ImageJで学ぶ実践医用・バイオ画像処理.INNERVISION(21・4) 2006, p78-79」
0 件のコメント:
コメントを投稿