前回はフーリエ変換についてご紹介しました。実際に画像の再構成はどのように計算されるのかを見てみると、理解もより深まります。
今回はCT画像の再構成パラメータをImageJのインターフェースで見てみます。
ImageJによるCT画像再構成シミュレーション
ほとんどのCT用再構成シミュレーションはほぼ共通のパラメータを持っています。
標準パラメータは次のようなものがあります。
①Number of Ray
画像の投影データ数。元画像から逆算する場合は、マトリクス数で代用することが多い。
②angular increment (投影角間隔)
X線やγ線の投影角を1°や0.5°ごとに収集する。
③Number of view
投影角と投影間隔との商で求められる。(投影角180°で投影間隔が0.5°のとき、360ビュー)
④View angle(ビュー角)
簡単なシミュレータの場合、投影角は0~180°。ファンビームでは扇状にX線やγ線が照射されるが、その扇の中心線の角度で定義。
⑤歳構成フィルタ
投影データにかけるフィルタには、Ramp、Shepp-Logann、Hann、Hamming、Cosine、Blackman。
⑥その他
上記の標準パラメータに加えて、再構成フィルタのカットオフ周波数の設定や再構成時のピクセル位置補正のために、nearest neighbor、linear、splineなどの処理を施す。
これらのパラメータに留意しながら、Damien Farrell氏がRadon Transformというプラグインを公開しているので、これで学ばせていただきましょう。(実際の操作は、第16回参照)
臨床に応用されているCT画像再構成の際に考慮されるパラメータについて
CT画像再構成を臨床に応用してみると気づくことですが、単にプロジェクションデータにフィルタで再構成しただけでは、その再構成画像のピクセル値が「CT値(Hunsfield unit)」になりません。
水と空気に合わせたCT値補正が必要になります。これを一般的に再構成時のキャリブレーションと言ったりします。
CT画像は、X線の吸収係数の分布を示していて、CT値はこの吸収係数として表されます。
CT値は水を「0」、空気を「-1000」としたときの生体組織の線減弱係数で、次の式で表されます。
CT値は水を「0」、空気を「-1000」としたときの生体組織の線減弱係数で、次の式で表されます。
CT値= (μa - μw ) / μw × K
μaは組織の減弱係数、μwは水の減弱係数、Kは定数で、通常は「1000」です。
CT値は、投影する対象の主要な組成物質の密度吸収係数と実効原子番号によって左右されます。
吸収係数の一般式は次の通りです。
記号μは線吸収係数、ρは密度(g/cm3)、Eは実効エネルギー、Zは実効原子番号を示します。
この式は一般的なX線撮影装置での投影にも当てはまります。
また、密度の高い物質をX線が通過する場合、低エネルギー部分が除去されて、周辺物質よりも泉質が硬くなるためにアーチファクトも生じてしまいます。
これはビームハードニングと呼ばれます。
このように、最終的なCT画像を生成するまでに、再構成に影響するさまざまな因子があることがわかります。
次回は、画像の幾何学変換処理について述べます!
Reference
- 「山本修司:ImageJで学ぶ実践医用・バイオ画像処理.INNERVISION(21・6) 2006, p82-83」
0 件のコメント:
コメントを投稿