Re - ImageJで学ぶ!: 第53回 ImageJによる顕微鏡画像処理 -マイクロマネージャーの基本的な設定方法と概要-で学ぶ!

2015年11月28日土曜日

第53回 ImageJによる顕微鏡画像処理 -マイクロマネージャーの基本的な設定方法と概要-で学ぶ!

前回、顕微鏡画像処理ソフトウェアとして、豊富な機能を持つUCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)Vale究室で開発されている「マイクロマネージャー(μManager)」を紹介しました。

μManager他の同種類のソフトウェアと大きく違うところは、カメラ、ステージ、フィルタホイール、シャッターなどのハードウェアを直接このソフトウェアを用いて制御できる点です。

回も前回に引き続き、μManagerの使用方法について説明を行います。なお、本説明は、μManagerのミラーサイト(http://elegans.bio.nagoya-u.ac.jp/~tsukada/MicroManager/u_guide.html)を参考にさせていただいております。

基本的な設定・操作


まず、μManagerを起動します。
続けて、以下の機能をご紹介していきます。

画像の表示方法

カメラから単一の画像を取得するためには、起動画面左側上に配置されている<Snap>タンを押すだけです。“Live”ウィンウがポップアップ表示され、取得された画像が表示されます。
電子顕微鏡を接続していない場合は、デモカメラモードで起動します。この場合、サンプルとしてデモ用のサイン波画像が入力されます。この状態のときは、<Snap>ボタンを押すごとにサイン波の画像がシフトします。この画像はImageJの画像処理ツールやエディットツールによって画像解析が可能です。コントロールパネルの下部にデフォルトで表示されるプロファイルは、ヒストグラムです。


(デモカメラモードのサンプル画像)

ライブ画像モード

連続的にカメラの画像を表示する場合は、初期起動画面左の<Live>ボタン、または、<Snap>を起動した状態で、そのウィンドウ内の下部の<Live>ボタンを押します。

シリーズ画像の取得

LiveやSnapで画像を表示した状態で、コントロールパネルの<Album>ボタンを押すと、別ウィンドウが表示され、自分の欲しい画像で<Album>ボタンを繰り返し押すごとにシリーズにキャプチャーシーンが追加され、スタックとして保存できます。

ヒストグラム、輝度調整およびコントラスト調整

画像のピクセル値のヒストグラムは、常にメインパネルの下部にグラフで表示されます。ヒストグラムは、新たな画像を受信するごとに自動的にアップデートされます。濃度レンジは、<Camera Depth>、<4bit>〜<16bit>スケールを選択して調整できます。デフォルトの<Camera Depth>は、自動的にハードウェアに合わせて画像のビット長を調整します。画像表示の際の輝度とコントラスト調整は、メインパネルの下部のスライダーから調整できます。“Auto-stretch”オプションは、画像の濃淡ビットレンジから自動的に最小値と最大値を用いて調整します。ImageJのメニューからでもImageJの通常の輝度およびコントラスト調整ツ一ルを利用できます。

リフレッシュ

μManager顕微鏡が変わっても設定をアップデートする必要はありません。使用しているハードウェアの状態に同期させるために、<Refresh> ボタンを押すだけです。

Region of Interest(ROI)

顕微鏡に使用されるカメラのほとんどはフルフレームの代わりにRegion of Interest(ROI)のみの画像でシリーズを構成することができます。ImageJのメニューから指定のROIツールを選択して使用することが可能で、<ROI>ボタンを押すことによって、カメラの画像内にそのROIの設定を反映させることができます。フルフレームの画像を表示するときは<Full>ボタンを押します。


(ROIボタンを押して、画像に反映)

拡大とラインプロファイル

<Zoom>ボタンは、アクティブな画像ウィンドウを拡大するときに使用し、<Profile>ボタンはラインプロファイルを描画するときに使います。画像がシリーズの場合、表示する画像ごとに自動的にプロファイルをリアルタイムに表示します。任意のラインプロファイルは、ImageJ標準機能のプロファイルプロットを実行することでも得られます。


(ラインプロファイルを実行)

カメラ設定

システムに備わった最小限の設定で、カメラの露出時間を設定でき、ビンニング(xy方向両方のピクセルのポーリング)を適用することができます。また、“Shutter”を変更することもできます。例えば、μManagerシャッターは、画像を取得する前にオープンし、一度画像が生成されると閉じます。シャッターの自動的なオープン/クロージング動作は、<Auto shutter>チェックボックスで有効/無効にすることができます。

デバイスのコントロール

デバイス/プロパティブラウザのメインコントロールパネルは、システムにロードされたデバイス/プロパティの小規模なサブセットのみのコントロールを提供します。ロードされたハードウェア構成で利用可能なすべてのデバイスとすべての設定を閲覧するには、デバイスブラウザ“Device Property Browser”(ニューコマンドのTools/Device Property Browser)を使用します。
デバイスブラウザは、すべてのデバイスのリストを返し、それぞれのデバイスごとに利用可能な設定ができる“properties”が用意されています。さまざまなデバイスを任意の設定で検査するための設定更ができます。


Device Property Browser

読み込み専用プロパティは、ダークバックグランドで表示されます。設定を変更するには、“Value”行にある対象を変更し、Tabキーを使ってフィールドから離れるか、もしくはウィンドウ内のどこかにマウスを移動してクリックすることができます。

デバイスプロパティのグループ化:プリセット構成

しかしながら、デバイスプロパティブラウザを使用して個々のプロパティを変更するのは煩わしい作業です。μManagerでは、デバイスプロパティのグループをセットするためのショートカットを作成できます。
初期起動画面の"Group"の+ボタンからグルーム編集ウィンドウを表示し、どのデバイスがコマンドによって影響を受けるか選択できます。


(グループ編集機能)

グループを作成した後に、プリセットの追加を行うことができます。

デバイスプロパティは、カメラゲインもしくは温度のようなものの場合、その値を簡単に設定できるようにスライダーが表示されたりします。使いやすさがよく研究されているツールです。

以上、今回はμManagerの基本的な設定方法や概要を説明しました。
本物の電子顕微鏡で使えたら、どんなことができるだろうと、夢を見させてくれるツールです。
次回も続けてμManagerの説明を行います。 

参考記事:「山本修司:ImageJで学ぶ実践医用・バイオ画像処理.INNERVISION(24・12) 2009, p108-109」

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