画像を生成するためのシステム、さらに視覚系のMTF(modulation transfer function:変調伝達関数)を用いた評価や測定法は50年以上も前から現在に至るまで、未だに盛んに検討されています(放射線科学の分野に応用した功績で名高いのは、シカゴ大学のロスマン教授という方だそうで、まったく知りませんでしたが、知れてよかったです)。
前回は、臨床でも利用可能なMTFを述べましたが、今回は、放射線技術を学ぶ基礎としてのMTFの詳細を述べます。
MTFの定義
オブジェクト(対象とする物体)のスペクトル分布において光学系の空間フィルタ効果が生じるとき、その応答(レスポンス)関数を光学伝達関数(optical transfer function:以下、OTF)といいます。
OTFは連続画像(この場合、アナログ画像と捉える)上で定義され、空間周波数領域は次の式で表されます。
I(u,v)=H(u,v)O(u,v)=|H(u,v)|exp[jθH(u,v)]O(u,v)
ここで、I(u,v)は画像のフーリエ変換でO(u,v)は対象物のフーリエ変換であり、そして、H(u,v)がOTFです。OTFの振幅項である|H(u,v)|がMTFです。
そして、θH(u,v)が位相を表す項であるので、位相伝達関数(phase transfer function:PSF)と呼ばれているそうです。
さて、ここで議論しているのは、画像のフーリエ変換の結果ではなく、OTFの絶対値(MTF)です。連続画像によるOTFは点像強度分布(point spread function:以下、PSF)のフーリエ変換(これをインパルス応答という)として定義できます(第8回参照)。
このPSFが、離散的にサンプリングされると、空間の不変性が失われます。画像をサンプリングする場合のサンプリングの相対位置が変化すると、当然、PSFのサンプリングしたときの強度分布も異なってしまいます。
これが、デジタル画像のMTFの問題点です。
PSFが高い周波数を持つとき、サンプリング間隔の幅や位置によってエリアシング誤差が生じます(第6回参照)。このオーバーラップ効果によってPSFのMTFは真値を示すことができません。しかし、多くの標本化された画像システムでは、連続空間上の不変システムのモデルをそのまま用いています。なぜなら、画像センサなどの検出器の有限な開口幅によるサンプリングが空間前フィルタの役割になり、このフィルタ効果によって、離散系においても、エリアシング誤差が生じないような工夫が可能という考えに則っているからです。
ここで強調したいことは、単にPSFのフーリエ変換でMTFが求まるといっても、デジタル化される前の検出器のサンプリングアパーチャなどによるボケを含んだ、デジタル化される前のMTF(プリサンプリングMTFという)が正確に求められて、初めて次のサンプリング(A/D変換)の正確なMTFの計算ができるということになります
(藤田広志,小寺吉衛:ディジタル放射線画像,内田勝監修,東京,オーム社,
102,2000.より)
今回は理論攻めで筆者もついていけているか微妙です、、、(やっとのこと数式を理解していく努力をしました!)
次回は実際にImageJを使ってMTFを測定していきます!
Reference
- 「山本修司:ImageJで学ぶ実践医用・バイオ画像処理.INNERVISION(20・9) 2005, p84-86」
0 件のコメント:
コメントを投稿